当基金の紹介

援護基金の調査・研究活動のことなど

  皆様におかれましては、社会的にまた経済的に弱い人々を司法の手によって救済することを目的とする、当援護基金の活動に、いつも特段の御理解とご支援を頂き、厚くお礼申し上げます。
  お陰様をもちまして、当援護基金も発足以来32年を数え、また皆様の御協力で公益財団法人となってから2年を経ました。これまで社会的また経済的弱者の司法による救済に向けての調査・研究事業及び訴訟活動への助成を中心事業として参りましたが、昨今の事例をいくつかご紹介致しますと、
・成年被後見人選挙権回復訴訟
・茶のしずく石鹸やカネボウ美白化粧品白斑被害救済などの消費者被害対策
・外国人研究生・技能実習生への違法、不当な労働問題
・福島第一原発事故の被災者、避難のための来道者救済活動
・「子どもシェルター」の開設、運営のための支援
・障がい者施設での虐待行為の実態の解明と防止のための活動支援
等々、多岐に及びます。
  しかし、この中でも高齢者、障害者、年少者、外国人、被災者など弱い立場にいる人への虐待、差別などの問題が特徴的であり、心が痛みます。
  これまで隠されていたことが、虐待防止立法とともに少しずつ明らかにされてきたと認識される大きな社会問題でもあります。
  人間が壊れてきているのかと滅入る事態もあります。
  当援護基金の援護、助成が日夜現場で格闘している方々にとって、小さくても力強い支援になればと切に願っています。
  今後とも公益財団法人札幌法律援護基金をよろしくご支援いただきますよう心からお願い申し上げます。

2015年(平成27年)6月
理事長 向井 諭
(札幌弁護士会所属弁護士)

札幌法律援護基金設立趣意書

  すべての人は、個人として尊重され、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有しています。わが国では、このような権利を実現するために、種々の立法がなされ、最近、特に、貧困な者、消費者などいわゆる社会的弱者の権利を保護するための諸立法がなされております。しかし、いわゆる社会的弱者がこれらの諸立法による権利を享有しようとすれば、最終的には裁判に頼らなければなりません。ところが、古来より、裁判には多額な費用、時間及び法律知識ならびに法廷技術が必要とされ、このことは今日でもかわりありません。そうして、いわゆる社会的弱者は、多額の費用、法律知識ならびに法廷技術を持っておらず、裁判による権利の実現をはかることができない状態にあります。このような社会的弱者の権利実現を援助するため、弁護士会、地方公共団体は、住民福祉の一環として無料法律相談を行ない、財団法人法律扶助協会は法律扶助事業を行なってきました。しかし、このような制度のもとにあっても、権利の実現・救済は充分ではなく、その充実が必要とされています。すなわち、財団法人法律扶助協会の扶助事業は、予算規模も小さく、その事業も勝訴の見込ある民事事件についての裁判費用の立て替えに限られています。このため、勝訴しても相手方より金銭を取り立てることのできない事件などでは、将来立替金を返済する余裕のない経済的弱者は財団法人法律扶助協会の法律扶助の利用は困難です。また、少年事件については、刑事事件のような国選弁護人制度もなく、法律扶助制度もなく、貧しい少年は、弁護士による権利保護の機会を奪われ、非行から立ち直る機会を奪われています。
  そこで札幌弁護士会は、創立100 周年を迎えるに当たり、基本的人権を擁護し社会正義を実現するという弁護士の使命にかんがみ、創立100 周年記念事業の一環として、財団法人札幌法律援護基金を設立し、主として、いわゆる経済的弱者および社会的弱者のために、法律相談、民事・少年事件の裁判に要する諸費用の援助、法律問題に関する講演会・出版などの法律知識の啓蒙及びこれらの諸事業を行なう団体に対する援助を行ない、もって、国民の基本的人権を擁護し、全ての人が、健康で文化的な生活を営む権利を実現するため寄与しようというものであります。

昭和58年4月20日
財団法人札幌法律援護基金
設立代表者 水原清之